情けないと思いつつ、今井は、マユミと の間にあった出来事を看護師の子に話し た。
彼女は最後まで、あいづちで理解を示し てくれた。
マユミとは別れたのだし、看護師の彼女と付き 合った方が、誰のことも傷つけず、みん なが幸せになれるのかもしれない――。
行為の後、彼女を抱きしめ今井は言っ た。
「俺達、付き合おっか」
てっきり、彼女も同じ気持ちだと思って いたのだが、
「ううん。私はもう、智弘くんに会うつ もりないよ」
穏やかな顔で今井の体を引き離し、彼女 は告げた。
「つらいかもしれないけど、逃げちゃダ メだよ。
マユミちゃんと、しっかり向き合いなさ い。
他人同士が付き合うんだから、自分に とって都合の悪いことが起きるのは当た り前だよ。
それでも智弘くんが悩んだのは、彼女と の関係をそれだけ真剣に考えてた証拠 じゃん。
私の出る所ないよ。
それでもフラれたら、話くらい聞いてあ げるから。
ほら、そんな顔しないの。笑って?」
彼女の言葉が、今井に勇気を与え、真っ 正面からマユミと向き合う気持ちにさせ てくれた。
彼女の言い方は優しいのに、まるで胸倉 をつかまれキツく叱られたような気がし た……。
彼女とは連絡先も交換していなかった し、一夜限りの関係で終わった。
その日樋口は、有給休暇を取って今井の 住むアパートに向かっていた。
遠方なので、アパートに着いたのは夜。
会社に連休を頼んで良かったと思いつつ インターホンを押そうとすると、中から 嬌声が聞こえる。
今井がマユミ以外の女性を部屋に上げた のだと、樋口はすぐに分かった。


