リクがN大学の入学式を迎えた日。
メイも、菜月と共に専門学校の入学式に向かっていた。
家を出る前、菜月は化粧もそこそこに、メイの着替えや持ち物チェックを手伝っていた。
「うん。メイにぴったりね」
慣れないスーツに身を包んだメイは顔をしかめる。
このスーツは、大成と菜月が用意した物。
メイは同年代女性の平均体重に満たないほど体が細いため、スーツは専門業者に特注するしかなかった。
メイは、メイの髪を手入れしている菜月に向け、
「こんな高い物、いらなかったのに……」
と、鏡に映る自分のスーツ姿を見てうつむいた。
スーツは普通でも5~10万はするが、メイの物は特注だからそれ以上の値段になるはず。
大金を使ったことのないメイにも、それくらいのことは分かっていた。
それに、こうして人生の節目に衣服を気遣かってもらえるなんて初めてだったから……。
晴れ着のためにお金を使ってくれる母親なんて、メイにはいなかった……。
菜月はメイの言葉に耳を傾けつつ、彼女の長い髪を丁寧にクシでといていった。
「こんな服じゃなくてもいいじゃん……。普段着でよかったのに」
そうつぶやくメイに、菜月は微笑みかけた。
「今日はメイにとって大切な日でしょう。
私たちからのお祝いの気持ちなんだから、素直に受け取ってほしいな」
「……わかった」
メイは複雑な気持ちでうなずいた。


