幸せまでの距離


里親ネットで起こる不幸な出会いに胸が 痛んだが、探していた猫のうち、1匹は 今井の元にいる……!

ミズキは安堵(あんど)した。

「じゃあ、その子はもう、今井さんの元 で暮らせているんですね」

「ええ。今朝も、エサをあげたら気持ち 良さそうに眠っていました。

今頃は妻が、付きっ切りで面倒見てると 思います」

正確な金額をミズキには言わなかった が、今井は、里親ネットで売買されるお よそ5倍の額で、樋口から子猫を譲って もらった。


「妻も、喜んでいました。

もう、二度と、手放しません。

何があっても……」

償いの気持ちを込めて、今井は言った。

「樋口が変わることに期待するのは、も う、やめます。

そうじゃなく、自分が変わるべきだと思 いました。

今回の件で、それを思い知らされまし た。

もっと早くから、私が強い態度を示せて いたら、事態はこうまで悪化してなかっ たかもしれない……」

「自分を変えるのは難しいですけど、他 の人を変えるのはそれ以上に難しいです よね」

ミズキの言葉に頬を緩めると、今井はこ こへ訪問した理由を告げた。

「親猫は、樋口のしようとしてること… 身の危険を察して、子猫達をどこかに隠 したんだと思うんです。

樋口から星崎さんの話を聞いて、私はこ こに来ました。

勝手なお願いですが、どうか、一刻も早 く子猫達を保護して、星崎さんに育てて いただきたいんです」