「樋口にそう言われて初めて、私は、今 まで目を背けていたことを直視できるよ うになったんです。
幼なじみとしての関係をヘタに壊したく なかったので、私はそういうのを見て見 ぬフリをし、樋口の暗部からも目をそら してきました。
あいつは昔から変わったヤツで、周りか ら……特に、女子からは変な目で見ら れ、避けられたり気持ち悪がられたりし ていたんです。
というのも……。小学校の頃から樋口 は、理科の課外授業などで虫やカエルを 捕まえ、それを指でつぶして殺しては英 雄の様に振る舞い、楽しげに、誇らしげ に笑ってました。
男子は、そんな樋口をカッコイイとほめ ていましたが、女子達はそういうのに引 いていたんだと思います。
男子に尊敬されて気を良くした樋口は、 帰り道などでも、そういう言動を繰り返 していました。
野良犬に石を投げて威張ってみたり、昆 虫にカラースプレーを吹き付けたりし て。
彼にとっては遊びだったのかもしれませ んが……」
ミズキは神妙な面持ちで、今井の話を聞 いている。
「高校の時、樋口はコンビニでバイトを 始めました。
その時も、紙コップにハエを捕まえ、そ れを電子レンジに入れて熱してハエを殺 す……って遊びを繰り返してました。
客として店に来た私に、自慢げにそれを 見せてきて、さすがに気持ち悪くなりま した」
ミズキもそれを想像し、両手で口をおお う。


