そう言われてしまっては、樋口はもう、 ここに留まるわけにはいかなかった。
「そうですか……。
また、来ます」
樋口はしかめっつらで星崎家を後にし た。
あの様子だと、彼はまだ、現状に納得は していないだろう。
ミズキは、閉めた玄関扉にもたれて深呼 吸をし、緊張をまぎらわした。
“樋口さんの様子を見てる限りだと、他 2匹の猫も、まだ見つかってないみたい だね……”
早く探して、保護しなくては。
そう思う反面、ミズキはリクのことを頼 りにしていた。
実は、今日の昼休み、ミズキはリクから こんなメールを受け取っていた。
《明日からゴールデンウイークで大学も 休みになるし、今日も、猫探してみる よ。
親猫と子猫も、きっとミズキちゃんちの 近くにいるはずだから。
あ、このこと、メイには内緒でお願い!
明日、シュン君の誕生日会だね。
メイと、普通に話せるように頑張るか ら。
ミズキちゃんにも、いろいろ心配かけて ごめんね》
メイは、まだ見つかっていない猫を探し たいと、朝から晩までしきりに言ってい るが、専門学校のイベントはもうすぐ で、ゴールデンウイークも、メイには休 みなどないに等しい。
ミズキは普通に大学を休み自由を満喫で きるが、メイは学校やデパートに行って イベントの準備をしなくてはならず、 シュンの誕生日会でケーキ作りの役をこ なすのだけで精一杯だった。
それを考慮したミズキと菜月は、メイの 代わりに猫探しを申し出、リクにもその 協力を頼んだ。
頼む前から、リクは自発的にゴールデン ウイークの猫探しをかって出てくれたの で、ミズキは彼の活躍に賭けていた。
《俺も、樋口ってヤツに猫を飼わせるの 危ないと思う》
リクなら猫を見つけてくれるはず。
ミズキはどうしても、そう思えてしまう のだ。


