幸せまでの距離


「ごめん……」

食事の手を止め、メイは菜月に謝った。

菜月と違い、自分は学校のことに専念す るあまり猫の食事のことまで考えられな かった。

あんなに猫を守ると言っておいて、動物 を飼う自覚が足りなかったのを痛感す る。

菜月は見守るような笑みを浮かべ、

「謝らないで?

家族なんだから、助け合うのは当たり 前。

メイは学生なんだから、勉強第一に考え ないとね」

「……ありがとう」

メイは言い、ぎこちなく箸を動かした。

“母親って、すごいな……”

そう思わずにはいられなかった。

リョウとミズキ。

二人の子供を産み、育ててきたからこ そ、菜月は猫の昼食にも注意することが できたのだと、メイは思った。

それに比べ、自分は……。

メイは、子供を産み育てたいと思えない 自分を、あらゆる意味で欠陥品のように 感じてしまうのだった……。