日が落ちる頃、メイは帰宅した。
玄関で靴を脱ぐなり、彼女は自室に直行 する。
両手には、カナデからもらった猫用品入 りの紙袋が下げられていた。
学校帰り、カナデの家に寄って様々な品 物を譲ってもらったので、普段より帰宅 が遅れてしまった。
部屋に入る少し前から猫の鳴き声がし、 メイは無意識のうちに歩幅を広めた。
「ごめん、遅くなった……!」
扉を開けるなりメイは謝り、出入口付近 でちょろちょろと動く子猫3匹を一匹ず つ抱き上げた。
知らない環境に置かれて心細かったの か、今朝はぐっすり眠っていた猫達も、 今はメイの帰りを待ちわびていたよう だ。
「そっか! ご飯!」
メイはハッとし、部屋の角に寄せておい た子猫用のエサに手を伸ばす。
学生の身分ですっかり忘れていたが、猫 にも昼食が必要だった。
しかし、星崎家には昼間人がいないの で、猫は腹を空かせていただろう。
親猫がそばにいない今、子猫達は母乳も 飲めず餓(う)えていたに違いない。
メイは申し訳ない気持ちになると同時 に、明日の昼休みには絶対に帰宅すると 決めた。
夕食時、メイは菜月とミズキにそのこと を話すと、勉強に専念しなくてはならな い学生の身でその行動を取るのは無理が ある、と、二人に指摘されてしまった。
「パートに入る時間を、朝から昼に変え てもらうわ」
菜月がそう申し出たのはすぐだった。
「今日ずっと、私も猫のことが気になっ てたのよ。
昼間は、ミズキとメイは学校があるし、 私も仕事がある。
でも、子猫だし、なおさらマメに面倒見 てあげないとね」
菜月は、朝から夕方の時間帯に入ってい るパートを、昼からの勤務に変えること を前提に、猫の昼食を与える係に立候補 した。


