二人は、その会話をアカネに聞かれてい るとは思わず食事を終え、学食を後にし た。
その後学内を散歩しようとしたが、途中 ショウマはケータイでゼミの教授に呼び 出され未提出だったレポートを出すよう 急かされたため、午後の授業が始まるま で二人は別行動することになった。
「すっかり忘れてた!
めんどくさいけど、行ってくるわ」
「うん、頑張って」
中庭にでも行こう。
広い廊下でショウマの背中を見送り、リ クが歩を進めようとすると、
「リクくん!」
ショウマが走り去った方とは逆の、背後 から声がかかった。
リクが振り返ると、そこにはアカネの姿 が。
「アカネちゃん……」
リクはややぎこちない表情でアカネを見 遣った。
「ごめん……。本当はもっと早く声かけ るつもりだったんだけど……」
アカネは謝り、うつむく。
学食の入口でリクとショウマを見かけた アカネはリクに話しかけようとしたが、 彼女は財布を落とした日からショウマに 苦手意識があったため気持ちが引っ込ん でしまい、つい、話しかけそびれた。
「学食でも近くの席に座って話しかける タイミング待ってたんだけど、なかな か……」
学食で話しているショウマとリクは真剣 で、アカネはまたもや話しかける隙を逃 してしまったそうだ。
「リク君の好きなコの話も、聞いちゃっ た……。ごめん……」
アカネは申し訳なさそうに目を伏せる。


