リクが真っ先に考えてしまうのは、メイ との再会。
電話で別れを告げられて以来、彼女とは 会っていない……。
心ではメイを想っている。
だが、いま顔を合わせても、お互いつら くなるだけな気がした。
だったら、少し時間を置いて、気持ちの 整理ができた後に会った方が良いのかも しれない。
こうなってみて初めて、高校時代までメ イと関わってこれた今までの自分は幸せ 者だったのだ、と、リクは改めて実感し た。
“まずいまずい!
思考が暗い方に傾いてる!”
苦手なブラックコーヒーを半分飲み込む ことで後ろ向きな考えをかき消そうとし ていると、ミズキからメールが届いた。
メイからいつ連絡が来てもいいよう、彼 は常にケータイを気にしているからすぐ に気付けた。
《猫探してくれて、本当にありがとう。
メイ、喜んでたよ。
でも……。リク君が探してくれたってこ と、言わなくていいの?
メイは、猫が親猫に連れてこられたと 思ってるみたいだけど……》
ミズキはやはり、リクが猫探しに協力し てくれたことをメイに伝えたいようだ が、リクはためらいなくこう返信した。
《それでいいんだよ。メイには何も言わ ないでほしい。
メイが喜んでくれるだけで充分だから。
猫、無事でよかったね。
残りの猫も、なるべく早く見つけられる ようにがんばる。
ところで、ミズキちゃんちの玄関前に輪 ゴムが落ちてたけど、ミズキちゃんちの やつ?
ちょっと気になったから》
《輪ゴム?知らない。
通りすがりの人が捨てていったのかも。
帰ったら掃除しておくね》
ミズキからの返信を見て、リクは小さく 息をつく。
“やっぱり、ミズキちゃんも知らなかっ たんだ……”
道端にちょっとしたゴミを捨てる人間は 多い。
単なるゴミ。そのはずなのに、こんなに も気になってしまう。
なぜこうまで気にしてしまうのか、リク 自身にも分からなかった。


