バイトを断ってからため息の増えたメイ を見て、カナデは訊いた。
「メイちゃん、ゴールデンウイークにバ イトできなくなって残念がってる?」
「まあね」
「そんなにお金がいるの?」
「うん……。猫飼うことになって。
私が金出すってことで許可もらったか ら」
「そっかあ。動物飼うのって、意外にお 金かかるもんね。
予防接種のために病院連れてったり、 ショップで毛並み整えてもらったりと か。
昔、ウチも猫飼ってたから分かるよ」
「そうなの?」
メイは珍しく身を乗り出し、カナデの話 に興味を示した。
「幼稚園の頃に、ね。
車にはねられて死んじゃったけど……。
それからは、もう、ペットは飼わなく なったなぁ……」
カナデは切なげに目を伏せ、言った。
「あの頃は、生き物に寿命があるなんて 知らなかったから、死んだ時は信じられ なかったし、ご飯も食べられなくなるく らいショックでさ……。
“あのコ”をはねたのは近所の人で、何 回もウチに謝りに来てくれたけど、あの 頃は我慢できなくて、その人のこと責め ちゃって」
メイは反射的にリョウのことを想起し、 胸を痛める。
「そのあとすぐ、『代わりに』って新し い猫買ってもらったけど、やっぱり新し いコには前のコに与えてたような愛情が 注げなくて。
結局、新しいコは、前から猫欲しがって た親戚のコにあげたよ。
またあんな悲しい思いするくらいなら、 もう何も飼いたくない!とも、思ったん だよね」
「そう……」
カナデの悲しみが伝わってきて、メイは ただならぬ気持ちに襲われ、うつろな目 になる。
そんなメイの表情を“同情”と受け取っ たカナデは、意識して明るくしゃべっ た。
「もちろん、今なら分かるよ。
生き物なら、いつ死んだっておかしくな いんだってこと。
それすら分からなかったなんて、あの頃 はまだまだ子供だったんだね」


