幸せまでの距離


ふと冷静になり、リクはこんなことを 想った。

“ついさっき会ったばかりの俺がこんな んだし、メイはもっと、猫を好きになっ てるんだろうな”

猫の数が足りないのは気になるが、リク は、子猫3匹を保護できてようやくホッ とした。

眠る猫を見やりつつ、持ち込んだ段ボー ルを捨てやすいように折りたたんでいる と、家の中から足音が聞こえた。

誰かが起きてきたのだろう。

“メイ……!?”

心臓が跳ねた。

会いたいけれど、今は彼女と鉢合わせる わけにいかない。

リクは紅潮する頬に気づかぬフリで立ち 上がり、足音を立てないように素早く星 崎家の敷地から飛び出した。

玄関先で足に違和感を感じ地面を見下ろ すと、何個か輪ゴムが落ちている。

“なんかグニャッとするなと思ったら。

何だこれ。

さっき、こんなのあったっけ……?”

赤や緑、茶色……と、様々な色をした輪 ゴムが散乱しているのを見て、リクは意 味もなく不気味な感覚を覚えたが、なぜ そう感じてしまうのかまでは分からな かった。