女性から段ボールごと猫を預かったリク は、彼女に簡単な挨拶を済ませ、足早に 星崎家へと向かった。
急ぎつつも、出来るだけ段ボールを揺ら さないように歩を進める。
子猫3匹は、リクを見上げて心細げに鳴 いていた。
「かわいいな、お前達」
ペットを飼ったことのないリクも、猫達 の愛らしさを前に思わず頬を緩める。
「待っててな。
今すぐ、メイの元に連れてくから」
この猫達を見つけた女性の話だと、子猫 は夜中のうちに女性の家に入り込んでい た。
女性は、持病を抱える夫を気遣い、裏の 公園に段ボールごと猫を置いてこようと した矢先、リクに出会ったという。
『動物は好きだし、親猫が戻ってくる気 配もなかったから、子猫だけなら飼って あげたいと思ったけど、旦那がいるから ね……。
あの人も、子猫に触れなくて申し訳なさ そうにしてたわ。
多分、子猫達は、親猫が1匹ずつくわえ てウチに運んできたんだと思う。
ウチでは飼えないけど、保健所に連れて 行くくらいなら、誰かに拾って育てても らった方がいいでしょ?』
別れ際、女性は切なげにそう言い、公園 に猫を置きに行こうとした理由を語る と、快くリクに猫を託してくれた。
樋口に見つかる前に猫を保護できたのは 良かったが、気がかりなことがある。
ミズキの言っていた猫の数は、全部で5 匹のはずだ。
“親猫と子猫が、1匹ずつ足りな い……”
あの女性の推測通り、親猫が子猫を一匹 ずつ女性宅に運んでいたのだとしたら、 最後の一匹を運んでいる最中に、子猫3 匹が女性に見つかってしまったというこ とになる。
まだ見つけられていない残り2匹の行方 が気になったが、考えているうちにリク は星崎家に到着した。


