幸せまでの距離


住宅街の奥まった場所にある塀の上。

朝焼けの空に届きそうな街路樹の枝。

普段は気にとめない、猫が行きそうな場 所を丹念に見て回る。

猫達は同じ場所に留まっているわけでな いということで、星崎家を中心に様々な 場所に行ったが、リクはとうとう、猫を 見つけることができなかった。

“メイは、樋口って人のこと怪しんでた んだよな……”

ミズキの話を聞きながら、リクも、樋口 にマイナスな先入観を抱いた。

本来、飼い主にすんなり猫を返さねばな らないのかもしれないが、樋口にだけ は、猫を見つけさせてはいけない。

見知らぬ樋口に悪い想像を働かせ、リク の気はますます逸(はや)った。


また、ミズキがリクに猫探しを頼んだの は、いち早く猫を保護するためだけでは ない。

ミズキは、時々睡眠中にうなされるメイ から、なるべく目を離したくなかった。

“メイのことは、今はミズキちゃんに任 せて、俺は、絶対、猫を探す!!”


1時間目の授業をサボる結果となった が、そんなものは気にせず、リクはもう 一度、同じ道のりを探索した。