幸せまでの距離



翌日。

まだ、太陽が顔を出していない早朝と言 える時間に、リクはベッドを抜け出た。

春とはいえ、毛布を剥(は)ぐと冷たい 空気に触れ、瞬く間に鳥肌が立つ。

“寒っ!!”

一気に目が覚めた。

今日彼は、普段より2時間も早く目覚ま し時計をセットしておいたのだ。

手早く身支度を済ませ外に出ようとする と、リクの気配に気付いたのか、寝室か ら寝間着姿の正美に声をかけられた。

「リク、今日は早いわね。

何かあるの?」

「うん、ちょっとね」

「朝ご飯は?」

「外で食べるから、母さんはまだ寝てて いいよ。

いってきます!」

「いってらっしゃい」

久しぶりに息子の元気な顔が見られたの で、正美は安心した。

“最近のあの子、ずっと元気がなかった から、メイちゃんと何かあったのかと 思ってたけど……。

ちゃんと仲直りできたみたいで、良かっ た”

リクの言葉に甘え、正美は寝室に戻り、 もう少しだけ眠ることにした。