幸せまでの距離


猫に関する話し合いをしながら、メイ達 は夕食を終えた。


メイが風呂に入る時間を見計らい、ミズ キは急いで自室に引っ込むと、ケータイ で、ある人物に電話をかけた。

相手は、リク――。


数秒経って、彼は電話に出た。

「リク君。

いま、少し話せる?」

『うん。大丈夫だよ』

この間会った時、二人はメイ絡みの話で 軽く言い合いになった。

それを思い出したのか、リクの声音には 気まずさが見て取れる。

普段通りに話しているつもりかもしれな いが、彼はぎこちない。

ミズキはそれを察し、本題を告げるより 先に、謝った。

「リク君、この前はごめんね……。

私、自分の考え、リク君に押し付け過ぎ てた。

リク君にはリク君の考えがあるのにね」

『ううん、こっちこそごめんね……。

あの時、いろいろあって、頭ん中グチャ グチャで、ミズキちゃんに八つ当たりす るみたいになってた。


ミズキちゃんに心配かけるようなことは しないから、大丈夫。

メイが嫌がるのなら、メイとおじさんを 再会させたりはしない』

リクはリクで、あの後、考えを練ってい た。

メイのためになると思った行動でも、肝 心な彼女の意思を無視したものならば、 お節介を通り越し、迷惑な押し付け行為 で終わってしまう。

『ミズキちゃんにああ言ってもらえて、 冷静になれたんだ。

メイの立場も、よく考えないとね』


互いに考え方ややり方は違うけれど、メ イを大切に思う気持ちは同じ。

電話で顔は見えないが、穏やかな雰囲気 になったのが、二人には分かった。

『話って、そのこと?』

リクが訊くと、短い沈黙が訪れた。

ミズキの用件は、他にある。

「……実は、リク君にお願いがあるん だ」