幸せまでの距離


トイレに猫用缶詰、キャットフードを入 れる器。爪磨ぎセット、など。

ホームセンターで、猫を育てるのに必要 な最低限の物はそろえられた。

まるで、生まれたばかりの赤ちゃんグッ ズを買いあさる新米ママのように、二人 は浮かれた気分で品物を選んでいった。

あれもいい、これは微妙、それは買うべ き、など、軽く意見を出し合いつつ、店 員にもアドバイスをもらって、適切な品 を選んでいった。

思っていたより買う物は多く、メイのこ づかいだけでは足りなかったので、ミズ キがお金を出すことで、何とか購入する ことが出来た。

両手いっぱいになった荷物。

商品が入ったビニール袋を二人で分け 合って持ち店を出ると、来た道を戻る形 で帰宅した。


途中、メイは申し訳なさそうに言った。

「まだ先になるけど、バイト代出たら、 今日出してもらった分、返すから」

ミズキはクスッと笑い、

「返さなくていいよ。

だって、あの子達は、ウチの一員になる んだから」

「……ほんとに、いいの?」

あの猫達を育てたい。

専門学校に通わせてもらうだけでも充分 なのに、それ以上自分の要求が通るとは 思わず、メイは喜ぶ以前に、ためらっ た。

昔から、自分のしたいことを母親に話し てもことごとく反対されていたし、怒ら れた記憶しかない。

長年の習慣はすぐに抜けず、メイはいま だに、こうして「受け入れてもらえるこ と」に気後れしてしまうのだ。

「飼うのに反対だったら、こうやって買 い物についてきてないよ」

ミズキは諭すようにそう返した。