メイも、ミズキの考えは理解できた。
波風を立てないほうが、うまく事を運べ る。
理屈で考えれば、そうかもしれない。
ただ、メイは、何としてでも、樋口の手 から猫を守りたかった。
樋口が出ていってからずっと、メイの胸 は、極めて不快な予感を覚えていた。
不幸にぶちあたる寸前の予兆と言うのだ ろうか。
それがさらに、メイを焦らせていた。
「どんなやり方でもいい、猫が無事でい られるなら……!」
メイは言い、さっそく準備に取り掛かっ た。
自室に戻って出かける支度をし、急ぎ足 で玄関に向かう。
「どこに行くの?」
ミズキが尋ねると、メイは口早に答え た。
「猫がいつ来てもいいように、猫用の食 べ物とかトイレ、買ってくる」
バイト代はまだ入っていないが、多少、 こづかいが残っていた。
近所のホームセンターに行けば、手頃な 値段で飼育に必要な物が手に入るだろ う。
「私も行くよ!」
ミズキも急いで用意をし、メイと共に外 に出た。
星崎家付近で、樋口が待ち伏せしていな いだろうか?
ミズキは嫌な予感を覚えたが、幸い、今 は13時を過ぎている。
彼はもう、職場に戻り仕事をしているだ ろう。
樋口の姿はなかった。


