「そんなつもりない?
そう言ってるのと同じだよ!」
メイはミズキに詰め寄った。
「ミズキも違和感あったでしょ?
あいつは、狂ってる。
妊娠してる猫を平気で殺処分するって決 めたり、急に意見を変えて知り合いにあ げるって言ったり、最後は怒って出て 行った……。
私は、アイツに悪いこと言ったなんて、 全然思ってない」
樋口が悲しげに保健所のことを語ってい たのなら、まだ理解できる。
身内の介護や離職、転居、海外転勤を きっかけに、やむを得ずペットを手放す 飼い主もいる。
動物だからといって、その命を軽視する 人間が多いのは社会問題でもあるが。
「飼い主となる者は、一時的な軽い気持 ちで動物を飼ってはいけない」と、動物 愛護団体は切に訴えている。
ペットが病気になっても、愛情を注ぎ続 けることができるのか。
表面的な愛くるしさだけに惹かれていな いだろうか。
本来、人間と同じように、死ぬまで共に 暮らすことを前提として、ペットを飼う かどうかの検討をすべきである。
樋口はそれを分かっていないのだろう か。
早い段階から親に見放されて育ったメイ は、白猫達に過去の自分を重ねて見てい る。
ゆえに、簡単に白猫を捨てようとした樋 口に、憤怒(ふんど)するのも無理はな かった。


