二人の言い合いに口を挟めずにいたミズ キは、
「メイ、どうしたの?」
外に飛び出していった樋口の足音が遠退 いたことで、ようやくそう尋ねることが 出来た。
メイの前に周り込み彼女の顔を見ると、 メイも、樋口同様怒りに頬を紅潮させて おり、攻撃的な物言いの影響で、やや息 も上がっていた。
「ミズキ……。
あの男、ウソついてる」
「ウソ?」
「分かるんだ、なんとなく。
あいつはまともな飼い主じゃない」
これも、長年苦痛な生活を強いられてき たからなのだろうか。
メイは、樋口の話し方や仕草を見て直感 したのだ。
彼が、何か良からぬことを目論(もく ろ)んでいる、と……。
「あの男に、猫を渡しちゃいけない」
メイは途切れそうに弱々しい声で継い だ。
「子猫のこと、口にするんじゃなかっ た……」
樋口は、子猫の話を聞いて明らかに表情 を変えた。
「絶対、あいつには、猫を連れてかせな い」
「でも、そしたら、何を言われるか分か らないよ?
樋口さんも、引かなかったし……」
ミズキはメイの言動を見て、悪い事態に なるのではないかと危惧(きぐ)した。


