幸せまでの距離


「そんなのは、幻想だよ」

メイはこわばった顔で言った。

「でも、ありがとう。

そう言ってもらえるだけ、私は前より恵 まれてる」

震えを抑えるように、メイは強い視線を ミズキに向けた。

「自分のことは、自分が一番よく分かっ てるから。

昔は気付けなかったけど、今は自覚して る。

私は、他人(ひと)とズレてる。

ミズキもそう思ったからこそ、いま、笹 原って人の話をしたんでしょ?」

「メイ……」

「笹原に会ってどうすればいいか分から ないけど、会うくらいなら、別にいい よ」

「えっ」

メイがあっさり良い返事をしたことに、 ミズキは驚きを隠せなかった。

メイにはバイトもあるし、それ以前に、 見知らぬ笹原には会いたがらないので は、と、懸念していたのだ。

メイはミズキの思考を見抜いたみたい に、

「ミズキが紹介してくれる人なら、会っ てみてもいい。

ミズキもついて来てくれるなら、だけ ど」

「もちろんだよっ!

こっちからお願いしたことだし、私もメ イについてくよ。

多分、笹原先生の所に行くのは、ゴール デンウイーク明けくらいになるかな」

「わかった。

バイトの予定が分かったら、教えるね」