幸せまでの距離


ミズキはどう言葉を繋いでいいのか分か らず、黙ってメイの言葉を待ち続けた。

いま何かを言ったら、懸命に話そうとし ているメイを邪魔してしまう気がする。


湯気を立てていた皿の中のパスタ麺が冷 めてパサついた頃、

「……私は、普通じゃない」

メイはそう答え、平淡な声音で言葉を継 いだ。

「ミズキが大学でやってる心理学のこと なんて、私にはちっとも分からない。

けど、もし、それを通して私を理解でき たとしたら、ミズキは私に嫌気がさすか もよ」

「嫌気が、さす?」

「だって、私の心を分析したって、何の 役にも立たない。

それどころか、今よりもっと、他人に避 けられるようなドロドロの内面が出てく るだけだろうし。

見たくないものまで、透けて見えたりし てさ」

「そんなこと……。

人は誰だって、暗部を抱えてる。

私はそれで、メイを嫌ったりはしない」

ミズキはメイの肩を抱いた。

口調は気丈だが、メイの体は震えてい る……。