カナデなりに、自分の置かれた立場や家 柄は充分理解しているつもりだが、その 心意気は両親ほどではなかった。
やはり、恋愛をして、心から好きになれ る相手と結ばれたい。
人間なのだから、多少の欠点があるのは 仕方ないし、好きな人の短所なら、愛し いと思える。
カナデはそう思っていたが、両親の意向 はやや違うようだ。
今朝からトウマとの交際に口を出され、 カナデは憂鬱な気分になった。
二度寝をすることで嫌な現実から逃げよ うとしたが、あまり睡眠効果を感じられ ず、逆に頭痛がした。
人は、眠り過ぎることで緊張状態が緩 む。
結果、頭部の血管拡張を起こし、それに よって頭痛を引き起こしてしまうことも ある。
どこかで見聞きした情報を思い出し、カ ナデは二度寝を後悔したが、もう遅い。
ズキンズキンと、精神力を削るように脈 打つ痛みが、脳の中心から秒刻みで襲っ てくる。
“やっぱり、メイちゃんが帰った後も、 起きてればよかったぁ……”
頭痛薬を飲もうと起き上がろうとした が、体の向きを変えるだけで頭を揺さぶ るような痛みがやってくるので、動く気 力すら無くなってきた。
“ま、いっかぁ。
今日、休みだし……”
カナデはベッドにうずくまり、しばらく 抜け出せずにいた。
大好きな母の指摘に反抗する気持ちも起 きず、かといってトウマとの別れも考え られない。
心の中で大きなため息をつくと、
“お母さんの言うように、私が困った 時、トウマは私を見捨てて逃げる人なの かな?”
今朝母に言われたことを、カナデは改め て深く受け止めた。
全身をきしませるような憂鬱感と止まな い頭痛は、互いに増長し合っているよう だ。


