幸せまでの距離


ミズキから求人情報誌を受け取り、菜月 は目を丸くした。

「メイ、そこまで考えてたのね。

……驚いたわ」

メイの成長が、純粋に嬉しかった。

菜月は、メイに対する想いを語った。

「物心つく前の幼少期に迎え入れたなら ともかく、18歳になったメイを養子に すると決めた時、正直不安もあった。

打ち解けられなかったらどうしよう、う まく分かり合えなかったらどうしよう、 って……。

お父さんもきっと、最初はそう思ってた と思う。

メイを助けたい一方で、私達の考えや思 いを、メイに正しく伝える自信はない な、って……」

「うん……」

養子としてメイを迎え入れた時の両親の 不安は、ミズキも理解しているつもり だ。

「リョウの件とメイのことを、切り離し て考えられるの?っていう不安もあっ た。

もちろん、メイに罪はないって分かった からメイを娘として受け入れられたけ ど、いつか何かの拍子で、メイを恨んで しまうんじゃないか、って……」

「お母さん……」

「でも、全然そんなことはなかった。

一緒に暮らしてみて、よく分かるもの。

なかなか人になじめない所もあるけど、 メイほど、優しい子はいないかもしれな いわね」

「うん……」

両親が同じ気持ちでいてくれることに、 ミズキは喜びを感じた。

「みんな平等になんて無理なのは分かっ てるけど、やっぱり、世の中はおかしい と思うわ。

本当に人の痛みがわかる人ほど心を病ん で、人を傷つけても平気でいられる人 が、手段を選ばず夢を叶え、幸せになっ ていたりする……。

そんなの、何か間違ってる……。

頑張ってるのに報われない人が、たくさ んいるわよね」

菜月は、メイの実母・翔子の再婚話を含 んだ物言いだった。