それまでの明るい表情を一変し、カナデ は渋い顔になる。
「私はこんなに好きなんだけどね。
でも、ウチの親は、トウマと付き合うこ と反対してくるんだよね……。
……ま、そんなの無視してるけど!
トウマをウチに連れてくると親もうるさ いから、最近ではトウマがここに来るこ とも全然無くなったけど」
カナデの両親は、自分達が留守の間に家 に来た人間のことを、家政婦に欠かさず 報告させている。
ゆえに、カナデの行動は家政婦達に干渉 されないものの、カナデがトウマを連れ 込んでいることなどは、家政婦によって すかさず両親に知られてしまうのだ。
「今ではトウマんちに泊まるのがほとん どだけど、その時は絶対、一緒にお風呂 に入るようにしてるんだよ」
トウマと入浴した時のことを思い出して いるのだろう。
カナデはみるみる、恍惚(こうこつ)と した表情に変わる。
メイには、風呂場に良い思い出など無い し、むしろ忘れたいことばかりなので、
「ふーん。二人で入ったって邪魔くさそ う」
と、冷めた反応しか出来なかった。
「メイちゃんらしいね、なんか。
何事にも熱くならないっていうか、冷め てるっていうか」
なるほど、私は他人(ひと)からそうい う目で見られているのか、と、メイはい たって冷静にカナデの評価を受け止めて いた。
「シャワーで体の泡を流し合ったり、お 互いの頭洗ったりするの、楽しいよ。
一人で入る時は、何もかもが単純作業で 飽きるけど、二人で入ると色々面白いん だよっ」
「そ……」
カナデがトウマと風呂に入るのが好きだ ということだけは、メイにもよく伝わっ た。
“いろんなヤツがいるんだな”
メイはそう思い、瞳を閉じた。
入浴で高まっていた体温もゆるやかに下 がり、良い心地で眠たくなってくる。
カナデはまだ話したそうに口を動かして いたが、横で寝息を立てるメイを見て、 仕方なく寝ることにした。


