幸せまでの距離


顔をそむけて渋々その話を聞いていたメ イに、カナデはからかうように言った。

「メイちゃんの彼氏は、寂しがってるか もよ?

メイちゃんとお風呂に入れなくて」

「そんなの、いないよ。

どこを見てそう思うわけ?

発想、飛び過ぎ」

メイはげんなりした顔で、淡々と返す。

カナデは、元々高い地声をワントーン高 めにし、

「えーっ!? メイちゃん、彼氏いない のー?

モテそうなのに、意外過ぎる!

もったいないよぉ!

実は、メイちゃんと仲良くなる前、学校 のコに聞いたんだけど、メイちゃんのこ と狙ってる男子けっこういるらしいよ。

メイちゃんはすぐ帰っちゃったけど、入 学式の後に、みんなで遊びに行ったん だ。

その時、そういう話になって。

今、その人達もフリーみたいだし、こっ ちから誘って、みんなで一緒に遊んでみ る?

楽しいよ、きっと!」

「興味ないから、そういうの」

考えるまでもなく、メイは即答。

恋愛話や男女関係に関する話題に乗り気 なカナデと違い、メイはその手の話に対 して非常に冷めていた。

メイもこれまでの間、学校内で自分に向 けられる男子学生達の嬉々とした視線を 感じてはいたが、カナデの話でその意味 を知り、寒気を覚えた。

他人の……特に、男性から向けられる性 的興味を含んだ目線は、メイにとって鳥 肌が立つほど不快なもの。