幸せまでの距離


天井を見ていたカナデは、勢い良くメイ の方を向くと、ためらいがちに、

「そういうの口に出したら、トウマとの 関係が……今の幸せが、壊れる気がす る。

何でそう思うのか、分からないけ ど……」

「そうやってビクビクして、相手の顔色 見ながら付き合っていくの?

そっちの方が、気分的に重くない?」

メイは思ったままを言った。

どこかで見聞きした励ましの言葉で飾り 立てるのは苦手だし、今、この場では、 前向きな意見なんて何の意味も持たない 気がして。


カナデは悩ましげにため息をつき、

「……そうだよね。

こんなまま付き合ってても、わだかまり が無くなるわけじゃないしね。

自分で言うのも変なんだけど、私って、 解決したことって根に持たないタイプな んだよ。

なのに今回は違ってて。

トウマの浮気を……。終わったことを、 いつまでもいつまでも、こうやってグジ グジ気にしてるのは初めてだから、自分 でもどうしたらいいか分かんなく て……」

確かに、カナデはそういう性格だ。

長い間嫌がらせをしていたメイに対して も、謝られればすぐに許して打ち解け た。