幸せまでの距離


1歳年上のショウマ。

年上だからなのか、リクから見た彼は、ずいぶん大人びて見える。

スーツを着ているからかもしれないが、そのせいだけではない。

“何て言ったらいいんだろ……。

心の奥に何かを抱えてそうだよな。ショウマって……”

同い年の友人達にはなかった影がある。

リクは、ミステリアスな雰囲気を漂わせているショウマのことを、もっと知りたいと思った。

「そういえば、ショウマは何で法学部に来たいって思ったの?

やっぱり、法律関係の仕事に就くため?

俺もそうなんだっ」

リクは、弁護士になりたいという自分の夢を話した。

ショウマは、周囲の人々に『将来良い父親になりそうだ』と感じさせるほど柔らかい顔で、

「聞きたい……?」

と、リクの目をのぞき込む。

「うん! 教えてよ。

これから同じ講義受けることがあるかもしんないし、そういう時、ショウマのこと知ってたら、協力できることもあるかもしんないしさ!」

リクはキラキラした目で、自分よりやや身長の高いショウマを見上げた。

ショウマは意味深なため息をつくと、一瞬暗くなった瞳をごまかすように笑い、

「笑わずに聞いてくれる?」

「もちろん!」

「……ありがとう、リク。

俺は……法律を……。今の日本をガラッと変えたいんだ」