幸せまでの距離


「……好きな人の心を、いつまでも、自 由に、自分の好きな加減で、縛っておけ たらいいのにね」

カナデは仰向けになり、天井を見つめ 言った。

「この前はメイちゃんに、トウマの一番 でいられればそれでイイみたいなこと 言ったけど、いま思えば、半分以上、強 がりだったのかも。

ううん。あの時は本当にそう思ってたん だよ。

……でも、日が経つにつれて、トウマが 浮気したってことが、頭の中で大きく なっていって……」

「……そうだったんだ。

そんな風に見えなかったけど」

メイは今日のことを想起した。

カナデとトウマは、女絡みの問題で修羅 場を迎えたとは思えないほど、仲よさ気 に酒を飲んでいたし、メイが目を逸らし たくなるほど体を寄せ合い、親密そうに していた。

「トウマと居る時は、そういうの隠して るからね。

今日もそうだったんだよ。

ま、メイちゃんがいるから、険悪な雰囲 気になっちゃいけないってのもあったけ ど。

もしケンカになったら、巻き込みそうで 悪いし。


……誰かといる時はあまり考え込まずに 済むんだけど、夜寝る前とか、パッと一 人になったりすると、『トウマは本当に あの女のことを忘れたのか?』って、 疑ったりもする」

メグルの件を思い出して弱々しくなるカ ナデに、メイはスッパリと言い切った。

「だったら、本人に直接訊いてみれば?

アンタの納得するような答えが返ってく るかどうかは、分からないけど」