某温泉地の露天風呂を彷彿とさせる風呂 を借りた後、メイはカナデの部屋に戻 り、3人くらい入っても大丈夫そうな柔 らかいベッドに身を沈めた。
二人は目を閉じ、静寂を感じる。
「お風呂、一緒に入りたかったなぁ」
カナデは言った。
「友達と泊まる時、お風呂一緒に入るの 断られたの初めてだよ」
メイは人に自分の体を見せたくなかった ので、カナデの誘いを断固拒否していた のだ。
「一人で落ち着いて入りたいの」
そっけないメイの言い方に、カナデは若 干すねた。
「メイちゃんって、優しいのかクールな のか分かんない」
「私だって、そんなの知らない」
「……もう、メイちゃんは」
カナデは気を取り直すと、尋ねた。
「今日、トウマに会ってみて、どう思っ た?」
「どう、って?」
質問の意図が分からず、メイは無表情な がら困惑した。
カナデは、隣に寝そべるメイの方に体を 向け、
「浮気するような人にみえた?」
「……さあ。外見で中身なんて分かんな いし」
「だよね……。
……正直、今でもちょっと信じられない んだ」
カナデは深刻な口調になる。
「トウマは正直者で、まっすぐで、 ちょっとバカっぽくて、夢に熱く て……。
私に隠れて他の女に関わってたなんて、 思えなかった。
ま、こうやって現実から目を背けて、 ショックをごまかしてるって言う方が正 しいかな」
“誉め過ぎじゃない?”
メイはそう突っ込みたくなったが、少な くとも、カナデの目にトウマはそう映っ ているようなので、何も言わなかった。


