幸せまでの距離


各自の手元に写真が行き渡ると、一同は 解散する運びとなった。

トウマは明日の早朝から演劇の稽古があ り、昼からは、今度出演する舞台につい て雑誌社からのインタビューを受けるそ うだ。

「じゃあ、私達は帰るから、明日は頑 張ってね!」

カナデはトウマに言い、メイを連れて彼 のアパートを出た。

予定通り、道路に面した歩道に出るとタ クシーを止め、二人はカナデの自宅に向 かった。


住宅街よりやや離れて立つ和風の一軒 家。

辺りでも、こんなに目立つ家屋はないだ ろうというほどに、カナデの自宅は大き かった。

邸宅と表現しても間違いないほど。

広大な敷地を囲う頑丈な外壁。

中心に建つ家の周りには池つきの庭があ り、そこには、散らばるように松の木が 植えられている。

時代劇の舞台に使われてもおかしくな い、古風で風流な眺めだ。