幸せまでの距離


昔から、写真を撮られる機会は何度も あった。

保育園や幼稚園時代の遠足に、お遊戯 会。

小学生の運動会や、中学校の卒業アルバ ム。

写真の中、メイの目はどれも虚(うつ) ろで生気がなく、無理矢理生かされた屍 (しかばね)のようにも見えた。

そんな自分の顔を自覚するたび、メイは 嫌気がさした。

姿形は昔の母・穂積翔子。

中身は、精神的に死んだ魂。

自分でも、こんな写真を見るのは耐え難 かったし、他人に見られるのはなおさら 不快であった。

そんな経験を繰り返すうちに、メイは写 真やプリクラといった、本来楽しむため に作られた文明との接触を避けてきた。

「メイちゃん、今までで一番いい表情し てるね」

カナデは嬉しそうに写真の中のメイを褒 め、トウマも宝物を扱うようにその写真 を眺め、

「翔子さんの娘と写真撮れるなんて、幸 せ……!」

と、テンション高く言った。