出来上がった料理や菓子が、リビングの テーブルにズラリと並ぶ。
三人は輪を作るようにそれぞれ席につ き、食材と一緒に購入したクラッカーを 鳴らした。
カナデのサポートに回っただけとはい え、色とりどりの料理を見ていると、メ イは専門学校で学んでいることが表現で きていると目に見えるようで嬉しくなっ た。
トウマは、カナデとメイのバイト合格を 祝う言葉より、翔子の話をすることが多 かったが、食事の時間が2時間を過ぎる 頃には、複雑な気分だったメイもその雰 囲気に慣れていた。
空が暗くなり、室内がやや寒くなると、 カナデとトウマは、冷蔵庫から缶チュー ハイを出し、どちらかともなく飲み始め た。
「メイちゃんは、何味がいい?」
種類豊富な缶を前にカナデは尋ねたが、 メイは飲酒を断る。
「私はいい」
翔子と住んでいた頃、メイは、酒に酔っ た翔子を幾度となく見てきたため、自分 は決して酒は飲まないと決めていた。
翔子は、交際していた男に裏切られては 酒を飲み、仕事がうまくいかない時もま た、飲酒に逃げていた。
そうして一時的な快楽に浸かり、その後 二日酔いの体で現実を見て、メイに当た り散らしていた。
酒は人の感情をコントロールするし、人 体をアルコール依存症にさせる危険もは らんでいる。
「体に悪いから飲まない」というより、 飲酒によって自分の中にある大切な何か を支配されるようで恐ろしかった、とい う方が正しい。
そういった理由で、メイは飲酒を好まな かった。


