約1分にも渡る握手に、メイはげんなり した。
熱狂的なファンとは、こういう人間のこ とを言うのだろうか。
「私は何もしてないのに」
興奮が冷めるどころか、ヒートアップす る勢いのトウマを、メイは横目で見遣 る。
「トウマは、穂積翔子を尊敬してたから こそ、今まで演劇を続けてこれたんだも んね。
その子供でも、会えたらやっぱり嬉しい よね!
私も最初、メイちゃんが穂積翔子の子 供って知ってビックリしたし!!」
カナデが彼をフォローした。
「翔子さんの子供に生まれてきたなん て、メイちゃんうらやましすぎるよ!」
トウマは絶頂感たっぷりに言った。
きっと彼は、舞台女優を引退する前の翔 子しか知らないのだろうから、勝手に言 わせておこう。
いちいちまともに対応するのが面倒に なったメイは、トウマが話す翔子の昔話 を聞き流した。


