幸せまでの距離


“最初は考え方合わないかもと思ったけど、この人意外にいいやつかも”

リクはそう思い、簡単に自己紹介した。

「松本リク。南高から来た。

あんたは?」

「秋坂ショウマ。

実家は愛知。こっち来てから一人暮らししてる。

仲良くしてな」

「よろしく!!」


入学式が始まる前に不愉快な思いもしたけど、新しい友達が出来た喜びにより、リクの心には新生活への希望が湧いてきた。


入学式も無事に終わり、二人は肩を並べて講堂を後にした。

途中、リクが反感を覚えた男子学生たちが何やら騒ぎながらリク達の横を走り抜けていく。

そして、自分好みの女子学生がいるグループに声をかけていた。

彼らは、大学内の女子達を集めて飲み会を開くつもりらしい。

耳障りでしかない彼らのはしゃぎ声が、広い廊下を伝ってリクの耳にも届く。