幸せまでの距離


今では無表情が常のメイも、幼い頃は人 並みに泣いたり笑ったりして過ごしてい た。

そんなメイの表情の数々。

20年近く経った今でも、リクは鮮明に 覚えている。

出来ることなら、今の記憶を持ったまま 過去に戻り、これまでの人生をやり直し たい。

メイが傷つかずに済むような選択をし て、彼女がトラウマを受けるような出来 事から全力で守ってあげたい。

生き直したい。

しかし、そんなことは不可能で、これま で過ごした日々も、書き換えることはで きない。

すでに起きてしまった事を望み通りに修 正するだなんて、ファンタジー世界に生 きる魔法使いに頼んでも難しいであろ う。

“タイムスリップしてやり直したいだな んて、現実逃避だな……”

分かっている。

でも今は、過去の思い出に浸って、未来 に希望を抱くための気力を得たかった。


かつてのメイがリクに見せていた笑顔。

甘えるような言動。

今はもう、何もかもが変わってしまった のかもしれない。

でも、たとえ彼女が二度と笑ってくれな くても、生きていける。

“メイは、それだけの思い出を俺にくれ たのだから……”


あきらめない。

生きている限り、立ち直れる可能性は無 限にある。


何度失敗しても、いつか掴んでみせる。

メイと見る、まばゆい幸せを。