リクは思った。
自分は決して立派な性格ではないし、未 熟な部分も多いし、偉そうなことを言え る資格も人生経験もないけれど、他者を 利用するような汚い人間にだけはならな い、なってはいけない、と。
“大人は、勝手過ぎる……!!
おじさんも、おばさんも!
人の命を、人権を、何だと思ってるんだ ろう?
自分の幸せしか考えてないじゃん……”
夕方、翔子から聞いた話を思い出し、リ クは怒りや悔しさを感じた。
リクの流した涙は、メイを救えなかった 過去の自分を責める感情からだけでな く、メイの実の両親に対する憤りからく るものでもあった。
メイは、両親の性欲や物欲を満たすため に生まれてきたのではない。
純粋に、生命としてこの世に生を受け、 世の中に舞い降りてきたはずなのだ。
“メイには、生まれてきた時からすで に、幸せな未来なんて用意されていな かったっていうの!?”
翔子の話を聞いていたら、リクはそうと しか思えなかった。
たった一人で傷つき、苦しみ、周りに頼 れる大人もなく。
生命として接することをしてもらえず、 まるで物のように扱われ続けたメイ。
幼なじみという環境も大きかったのだろ う。
リクにとってメイの存在は、血のつなが りがない兄弟のようにも感じられた。
親愛なる、身内。
大切な存在。
メイが傷つくと、リクの胸も痛む。
メイの悲しみは、リクの悲しみ。
苦しみも、同様。


