結局、リクを止めることが出来なかった ミズキ。
帰宅し、リビングでメイの姿を見るな り、申し訳ない気持ちになった。
出来るだけ、メイを傷つけそうな物事か ら彼女を守ってあげたい。
しかし、リクの話を聞いていたら、ただ 反対するのも間違っている気がしたの だ。
リクは、ただイタズラにメイの過去を掘 り起こしているわけではない。
彼なりにメイの幸せを願ってやっている ことなのだと思えたから……。
メイはリビングのソファーに座り、バイ ト情報誌を見ていた。
「バイトするの?」
「うん。とりあえず1件は面接受けたけ ど、落ちた時のために次の探してる」
「学校との両立、大変じゃない?
何か欲しい物でもあるの?」
「大丈夫。両立できるようなバイト選ぶ から。
あの白猫、放っておいたら死んじゃう し、私が育てる」
「メイ……」
リクの話を切り出せず重たい気分では あったが、バイト探しをするメイ見て、 ミズキは少し落ち着きを取り戻した。
出会った頃のメイは、何事にもやる気を 出せず、無気力状態であり、空気のごと く漂うように生きていた。
それが今では、こうして白猫のために働 こうとまでしている。
長年かけて刻まれた心の傷を癒すには莫 大な時間がかかるけれど、人が前進する には、小さなキッカケがあるだけで充分 なのだと感じた瞬間だった。


