幸せまでの距離


リクは深呼吸をし、ミズキにつられて高 ぶりそうになる気分を落ち着け、ミズキ を見つめた。

「ミズキちゃんが言おうとしてること も、分からなくはないよ。

下手したら、メイの傷口を広げてしまう 行為かもしれない」

「だったら!」

「だからこそ! おじさん……メイの父 親から話を聞く必要があるんだよ!

どういうつもりでメイを育ててたのか。

メイに対して、愛情を注いだ時期もあっ たはずなんだよ……。

女性としてじゃなく、純粋に自分の子供 として。

そう、信じたいんだよ……。

メイはこのまま、親の愛を知らずに生き ていくの?

自分は生まれてこない方が良かったって 思いながら過ごしていかなきゃならない の?

そんなの、残酷だよ……」

リクの言うことはもっともだと、ミズキ は思った。

「でも、実の父親に会わせるのが得策だ とは思えない。

そんなことをするまでもなく、私は必 ず、他の方法でメイの心を癒してみせる よ」

「ありがとう、ミズキちゃん」

リクは穏やかな顔つきになる。

「ミズキちゃんみたいな姉ができて、メ イは幸せだと思う。

俺も、ミズキちゃんのこと信じてるし、 ミズキちゃんのやることに間違いはな いって分かってる。

ただ、俺は俺で、メイの心から痛みを取 り去れたらいいなって思って動いてる。

絶対、悪いようにはしないから」