店を出るなりリクは走った。
逃げるように、ミズキから距離を取ろう としたのだ。
しかし、人通りの少ない裏路地にさしか かった時、追いつかれてしまう。
ミズキは乱暴にリクの片腕をつかみ、叫 ぶように、
「リク君のすることに悪気はないって分 かってるし、メイを大事に思ってくれる のは嬉しいけど、メイを実の父親に会わ せるなんて、絶対しないで!!」
「……メイが、父親に性的虐待を受けて いたから?」
「どうしてそれを!?」
ミズキは青ざめた。
「もしかして、翔子さんに聞いた の……?」
「…………」
リクの沈黙が、質問へのイエスを示して いた。
店内では人目を気にしてできなかった話 も、ここではできる。
切れかかった電灯が、二人の頬を不安定 に照らしていた。
ミズキは頭に血がのぼる思いで訴えた。
「だったら! 何でメイを父親に会わせ るなんて言うの?
メイはそんなこと望んでない!」
「本当に!?
それは、メイ本人がそう言ってた?
ミズキちゃんの想像じゃないの!?」
「そうだよ、想像だよ。
でも、私には分かる!
メイをこれ以上傷つけてほしくない!」
ミズキも引かなかった。


