幸せまでの距離


“メイは絶対、父親には会いたがらな い……!”

ミズキは反対しようとしたが、その理由 を口には出来ず押し黙った。

昔、メイと実の父親の間にあったこと を、リクには話せないから。

しかしリクは、ミズキの顔に浮かぶ否定 的な色を感じ取り、

「ミズキちゃんは、俺のしようとしてる こと間違いだと思う?」

「…………」

ミズキは何も言えず、ぎこちない瞳でリ クを見つめ返すことしかできなかった。


騒がしい店内。

二人を包む空気だけは静かである。


「ミズキちゃんには感謝してる。

メイのこと気にかけてくれて。

ミズキちゃんがいてくれたおかげで、メ イは夢を見つけて、専門学校に行く気に なった」

リクは立ち上がる。

ほとんど手をつけていないテーブル上の 食事に視線を落とすと、財布から取り出 した数枚の札をミズキの前に置いた。

「……リク君」

ミズキは座ったままリクの顔を見上げ る。

「ミズキちゃんに任せた方が良いことも あるのかもしれない。

でも、俺だって、メイを支えたい。

困ってる時は、一番に手を差し出した い。

昔から、ずっとそうするって決めてたん だ……!」

ミズキを置いて、リクは店を飛び出し た。

「待って……!!」

急いで料金を払い、ミズキはリクを追い かけた。