「それは、おじさんがメイのことを可愛 がっていたからじゃないんですか?」
答えつつも、リクは正体不明の不安に襲 われた。
翔子の視線が無感情だからだろうか。
背筋が冷え、長袖の服を着ているという のに鳥肌が立った。
聞いてはいけないものに触れかけている 恐怖感。
第六感が、敏感になっている。
「可愛がっている、ね。
まあ、あながち間違いではないかもね」
翔子はうつむき、唇を半月型にして笑ん だが、目は笑っていない。
「離婚したら、裁判だとか法律だとか で、未成年の子供に対する養育費の支払 い義務が生じる。
でも、世の中には、戸籍上離別した子供 に養育費を支払わなくなる親もいる。
支払い能力があっても、ね。
監視する人間がいるわけでもないから、 もう、当事者間でうやむやになって終わ り……。
そんな中、なぜ、保の両親はメイのため にマメに養育費を送金してきたと思う?
そんなお金を渡してくるくらい私の収入 に不安要素があるなら、保に親権持たせ て、自分達の元でメイを育てれば良かっ たわけじゃない?
なのにあの人達は、決して安くはない養 育費を私に渡してまで、メイと関わろう としなかった」
「分かりません……。
教えてください」
いくら考えても、リクには皆目見当がつ かなかった。
ショウマも疑問視していたことである。
金銭的余裕があるのに、保はなぜ、メイ の親権を取らなかったのだろう?


