幸せまでの距離


「意味ならあります。

メイは、実の親に会う必要があります」

リクはうつむき言った。

「もう、おばさんのこと責めるつもりは ないけど……。

メイは今でも苦しんでます。

あなたに、愛されたかったんだと思いま す」

「そうね……」

以前の翔子だったら腹を立てていた所だ が、今は違った。

「私は、あの子を愛すどころか、利用し ようとした。

いいえ。ずっと利用してたわ」

「それって、どういう……?

宇都宮のことですか?」

リクは、ニセ弁護士・宇都宮の件だと 思った。

現に翔子は、メイを宇都宮に売ろうとま でしていたから。

しかし、翔子はそれだけではないと言っ た。

「お願いだから、落ち着いて聞いてちょ うだいね」

そう前置きし、

「親になるということがどんなことなの か、結婚してからも全く理解できなかっ たわ。

元々、離婚後もメイを引き取って育てる つもりなんてなかった。

施設にでも預けて、自由に生きたかっ た」

「なら、どうして!?」

出来るだけ感情を抑えたが、リクの声は 高ぶった。

「なぜあなたがメイを育ててたのか、い まだに分かりません」

その理由も、リクの知りたいところ。

「保と、保の親に頼まれたからよ」

メイの実の父親・金山保(かなやま・た もつ)。

「保の親は約束してくれた。

メイが成人するまで、養育費を毎月欠か さず私の口座に振り込むって。

だから私は、メイを引き取ることにした の。

そのお金は、自分自身のことに使って た。

メイのために使ったことなんて、ほとん どない」