通り過ぎてゆく人々を見つつ、ショウマ は無表情でつぶやいた。
「考えてみれば、理不尽な話だよな。
世の中には、自分の子供を下僕のごとく 好きに扱ったり、自分の都合で里子に出 すような大人がいる一方で、他人の子供 に優しくできる大人がいる。
子供も、大勢の大人の中から親を選べた らいいのにな……。
ま、倫理的に問題あるんだろうから、そ ういうシステムは作られないだろうけ ど」
「ショウマ……」
ショウマの家庭環境を思い、リクは切な くなる。
「ごめんごめん。
深い意味はないんだけどさ」
ショウマは山本のことを話した。
「昔から仲良くしてる、山本さんってお じさんがいるんだけど。
その人、何考えてんのか知らないけど、 俺のことすごい可愛がってくれるんだよ ね。
ウチの親と違って理解あるし、優しい し、褒めてくれるし。
山本さんに会うたび、ああいう人が実の 親だったらよかったのにって、本気で思 うんだよ」
「…………」
「ま、でも、山本さんは赤の他人だか ら。
そう実感した途端、何もかもに冷めるん だよね。
山本さんとどれだけ楽しい時間を過ごし ても、心の隅で『他人』の壁は消えな い。
どうあがいたって、俺の親は、実家にい るあの二人なんだ、って、さ……」


