無事、デートクラブの仕事を辞めること になったカナデは、来たときと同じよう にメイを連れて店を後にした。
すっかり夜の風景に様変わりした歓楽街 を抜け、駅に着くと、メイはカナデに 謝った。
「私、今までアンタみたいに風俗の仕事 してる人を否定ばかりしてきた。
……ごめん」
「急にどうしたの?
そんなしおらしい顔するなんて、メイ ちゃんらしくないよ」
サラリと言ってくれる。
「一言余分。
素直に受け止めてよ」
気恥ずかしさのあまり、メイはぶっきら ぼうな口調になる。
「店長が言ってた通り、アンタ達が体 張って仕事してくれてる一方で、守られ る性があるんだよね。
今まで、そういうの分かってなかった。
ただ、不愉快ってだけで悪く言ってた。
……浅はかだった」
「ああ、店長が言ってた性犯罪の話?」
カナデはキョトンとしていたが、そのう ち朗らかにこう言った。
「私、そんなことまで考えてなかった よ。
働いてたのは、全部自分のため。
応援したいって思いつつ、トウマに見捨 てられるのがこわかったから」
「そう……」
それでも、カナデが自分の身を削って働 いていた意味は大きい。
本人が自覚していなくとも。
そのつもりがないのだとしても。
この日メイは、性産業に携わる人々への 考え方を改めたのだった。


