釈然としないが、メイはそれ以上カナデ とトウマの関係を追求しなかった。
自分がリクを遠ざけたように、カナデに はカナデの考え方や価値観がある。
本人が幸せな顔でうまくいっていると言 うのなら、外野が口を出すことではな い。
話していると、専門学校に着いた。
「そんなわけで、私もメイちゃんと同じ とこでバイトするから、よろしく!」
実に爽やかな笑顔で、カナデは言った。
「好きにすれば」
そう返すメイも普段より穏やかで、かす かに笑んでいる。
いつも通り二人が教室の席に着くと、先 に到着していた何人かの学生が、何やら 騒いでいる。
近々、市内の大型デパート主催でイベン トが行われるそうだ。
この専門学校を卒業したパティシエの指 導の元、デパート内の一角で対面式のス イーツ販売が行われる。
メイを含む専門学校生は、卒業生達の助 手的な役割を担うことになった。
デコレーションスイーツの出品や、調理 の手伝いなどが、メイ達の主な作業とな る。
「当日、テレビの取材も入るんだって ~!」
学生達は気分高らかにそう話していた。
将来、菓子作りの仕事に就きたいと願う メイにとっても、胸が高鳴るイベントに 違いなかった。
しばらくして講師がやってくると、イベ ントに参加する際のグループ決めが行わ れた。
メイは、カナデと同じグループになっ た。
二人のグループは、デコレーションケー キをメインに扱う卒業生パティシエの補 助をすることになったのだった。
「それなりに楽しもうね」
軽いノリでそう言うカナデに対し、メイ は真剣なまなざしで「腕が鳴る」と、小 さくつぶやいた。


