幸せまでの距離


「え?」

メイはいささか驚いたようにカナ

デを見た。

カナデはニヤニヤと笑みを浮か

べ、

「デートクラブのバイト、辞める

ことにしたから。

気分転換に、違うバイトやってみ

るのもいいかなって考えてたとこ

なんだぁ」

と浮かれ声で言い、さらに、トウ

マとヨリが戻ったことを話した。

風俗の仕事を辞めるのはともか

く、トウマとカナデが交際を続け

るという展開に不自然さを覚えた

メイは顔をしかめた。

しかし、嬉しそうなカナデを前

に、反論のセリフも出ない。

トウマと付き合い続けると決めた

のにはそれなりの理由があるのだ

と察し、メイは黙ってカナデの話

を聞くことにした。

「トウマ、あの女とはもう会わな

いって言ってくれた」

あの女、とは、メグルのこと。

カナデがヨリを戻すと決めたの

は、そのことだけが理由ではな

い。

「それに、私がデートクラブで働

くの辞めるって言っても、トウマ

は私を必要としてくれた。

私、勘違いしてたよ。

トウマの夢を応援したいと思いな

がら、トウマに捨てられるのが怖

かったんだと思う。

金銭面の援助ができなくなった

ら、トウマは私を必要としなくな

るんじゃないかって……。

ある意味、デートクラブを辞め

るって切り出したのも、賭けだっ

た。

でも、トウマは、お金じゃなく、

ちゃんと私を好きでいてくれたん

だよね」

「メグルと浮気したのに?」

メイは冷ややかに尋ねた。

「メグルとトウマのこと、あれだ

け許せないって言ってたじゃん。

それでも、トウマと付き合い続け

ていけるの?」

「浮気は、それほど大きな問題

じゃないよ」

カナデは晴れ晴れした表情で言っ

た。

「私が1番許せなかったのは、ト

ウマがあの女を必要としてたこ

と。

浮気なんて、してない方がいいに

決まってるけどね。

トウマにとっての1番が私なら、

それでいいの」

「ふーん……」