“リク……。あんたは私のことを 何も知らない。
夢や頭の中で、私が何回殺人を犯 したか知らないでしょ?
どれだけ、人間の男に憎しみを 持っているのかも……”
けれどもリクは、メイのことを理 解しようと体ごとぶつかってき た。
無謀と言ってもいいくらい、後先 考えずに動いてくれた。
昔からずっと、母親の虐待から守 ろうとしてくれていた。
そばにいる時は恐怖心や猜疑(さ いぎ)心といったマイナス感情ば かりが先走りしていたのに、別れ てみて初めて、リクの良さが見え てくる。
彼と別れたからこそ、メイは自分 の置かれた状況を客観視できるの だろうか?
だからといって、また元の関係に 戻りたいとは思わなかった。
自分が過去を忘れない限り、また 同じことを繰り返すのは目に見え ている。
今のメイには、心の傷を克服する 勇気も自信も、なかった。
“アイツの気持ちには答えられな かったけど……。
でも……。
…………リクと関わってた日々 は、悪くなかったよ”


