幸せまでの距離


猫の体は、あたたかい。

メイの胸は、締め付けられた。

しゃがみ込んで親猫の頭をなでて やると、嬉しそうに鳴く。

「お前は、私から離れていかない の?」

「ニャー」

メイの言葉に答えるように、猫は 鳴いた。

メイにとって、リクと過ごした1 8年の歳月は、決して楽しいこと ばかりではなかった。

“むしろ、自分の内面にある汚い ものをあぶり出されるようで、不 愉快な気持ちになることが多かっ た。

アイツと私は、だいぶ違う。

恵まれてるアイツに対して、ヤッ カミもあった”

リクを想うと苦しくて、悲しかっ た。

メイが涙を流した時、親猫だけで なく、子猫達までもがメイの元に やってきて、彼女の指先を舐め た。

「なぐさめてくれてんの……?」

「ニャー……」

彼らは言葉を話さないのに、メイ は救われる想いだった。