メイは、ニセ弁護士・宇都宮を思 い出し、
実の両親を思い出し、
“あの男”を思い出し、
宇野マサヤを思い出した。
無意識のうちに、両手に力がこも る。
“人を踏み付けて生きる人間は、 それを何とも思ってない。
だから楽なんだ。
自分が傷つけたり痛みつけた相手 にうらまれるだなんて、全く考え てない。
自分さえ傷つかなきゃ、損しな きゃ、それでいいんだろう”
彼らはそれで、幸せだったのだろ うか?
はたして、他人を苦しめてのし上 がる彼らの生き方に、人間として 歩む喜びなど見出だせるものなの だろうか?
メイは疑問を持った。
自分も、宇野マサヤと一緒になっ てリョウを苦しめた。
それだけではなく、数えきれない ほどの商品を万引きし、見えぬ店 主を追いつめていただろう。
だから、今さら偉そうに悪事を犯 す人間を批判したり、犯罪者を咎 (とが)める資格などない。
それは充分理解している。
ただ、自分はそういう大人にだけ はなっていけない、と、強く感じ た。
真っ暗に染まる孤独感も、身を焼 かれるようなトラウマも、全部、 引き連れて生きていく。
そういう生活の中で、自分にとっ ての幸せが何なのかを見つけてい きたい。


