幸せまでの距離


彼らの両目を目隠しし、鈍器で頭 を殴って気絶させ、全身に白い包 帯を巻き付ける。

その体を、巨木の枝から逆さに宙 吊りにする。

それを目がけて、両手に持った銃 を乱射させると、真っ白な彼らの 全身は真っ赤な血に染まり、紅の 人形と化す。

そのうち、メイの足元には相手の 鮮血が流れてきて、鉄のにおいが 鼻をつくのに、ちっとも怖くなど ないのだ。

それどころか、自分の傷がひとつ 癒されるようで、メイの心は楽に なる。

メイは時折、無表情ながらそう いった妄想をして自分を救ってい た。

彼女の脳内で殺害される頻度が高 いのは、実の父親や宇都宮、そし て“あの男”。


眠る時に見る嫌な夢にも、様々な 種類があった。

実際、過去に受けた性的虐待を再 現するもの。

フラッシュバックといっていい。

それ以外にも、リクの背中めがけ てナイフを突き刺すという夢を見 る日もある。

殺す方法は様々。

一酸化炭素が充満した部屋にリク を閉じ込めたり、彼の首を力一杯 締め上げることもある。